【Q&A】養育費の不履行
質問
私は、7年前、会社員として働いている夫と結婚をしました。夫の勤務している会社は、証券取引所に上場している大企業です。
私と夫の間には、5年前、長女が出生しました。
私は、2年前、夫と別居し、昨年、調停離婚をしました。調停離婚が成立するにあたり、私と夫は、長女の養育費として、調停が成立した月から20歳に達する月まで1ヶ月5万円の養育費を支払うことを合意しました。
しかし、夫は、6ヶ月前から、養育費を全く支払いません。
夫は、結婚した当時勤務していた会社に今も勤務しています。夫の年収は、税込み600万円程度です。
私は、調停調書に基づき、夫の給与を差し押さえることができるのでしょうか。
弁護士からの回答
調停調書は、確定判決と同一の効力を有する旨定められており、債務名義となります(民事執行法22条7号)。
給与の差し押さえの手続きをするためには、調停調書に加え、送達証明書が必要です。
給与の差し押さえについては、民事執行法に差押禁止債権の規定があり、給与の全額を差し押さえできるものではありません。
具体的には、請求債権が養育費の場合、次のような規定があります。
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次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の二分の一に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
①債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
②給料、賃金、棒給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
また、退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の二分の一に相当する部分は、差し押さえてはならない旨の規定があります。
また、債権者が、養育費の支払義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる旨の規定があります。
このように、調停調書に基づき、給与の差し押さえの手続きをとることが考えられますが、養育費を請求債権とする給与債権の差し押さえについては、上記をはじめとする規定があります。
詳しくは、弁護士にご相談ください。
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